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圧巻のオープニングムービーから物語は始まる!
どのシリーズも、PS3によるポテンシャルの高さなのか、いま遊んでも見とれるほど美しいグラフィックだった。
そして、今回のアサシンクリードリベレーションはシリーズ4作目。
ゲームを起動して驚いた。
オープニングムービーが放つ迫力、映像美は、現行機のPS4にも劣らない。
今作の舞台となるのは、コンスタンティノープル(イスタンブール)
洗練されたローマの街並みに比べると、どこを歩いても雑踏で、おしゃれな都市という感じはない。
しかし、様々な国の人々が行き交う雰囲気は、活気に満ち満ちており、その渦の中で、散策、活動する楽しみは今作ならでは。
そしてそれがアサシンシリーズの魅力の一つである。
中年期を迎えたエツィオが見せる魅力!
前作より時は流れ、立派な中年となったエツィオ。
外見の渋さが増しただけでなく、アサシンとしても最高位になり、多くのアサシンから尊敬を集める存在となっていた。
しかし、青年期にみせた人間性も健在で、決して人を寄せ付けないような雰囲気はなく、今作でも人懐っこい性格で、新たな人脈を築き上げていく。
任務のために楽師になりきる場面。
ここでは、エツィオの美声を実際に聴くことができ、ファンには堪らない時間となっている。
大導師と呼ばれるようになっても、その年月は、より人間的魅力に深みを与えていた。
そうそう年月といえば、今作では、これまでのシリーズを盛り上げた人間関係を一新している。
唯一といえば、妹のクラウディアに何度と手紙を書く場面ぐらい。
それでも、いまの姿や近況は語られず、少し寂しい感じもしたが、今でも仲睦まじい関係であることは確かで、個人的に大好きな場面の一つである。
新たな試みや遊びも追加!
さて、アサシンクリードシリーズを初代から遊びはじめ、シリーズを重ねるごとに、グラフィックのみならず、ゲームとして大きな進化を体感してきた。
今作でもそうした新たな試みがいくつも見られた。
その中の一つが、アジト防衛線。
内容は、リアルタイムで進行するシミュレーションゲームに近い性格。
プレイヤー(エツィオ)がその状況を見極め、指示を出して、アサシンを勝利に導くという流れとなっている。
ただ、個人的にはあまり好きになれなかった。
自由活発な操作性が魅力の一つである本作とは、真逆な方向性で、じっと戦局を見据えて指示を出す内容は、あまり相性が良くないように感じた。
気を付ければ、チュートリアル的な初回以外はスルーすることもできるので、それが救いではあった。
今作で新たな武器として追加された爆弾。
飛び道具としてだけでなく、敵の追撃を妨げるようなものや、逆に注意を引き付けるもの、簡易的な時限爆弾と、実にバラエティに富んでいた。
爆弾を使わなくても、クリアまで可能だが、使用することで格段に暗殺の幅が広がり、遊び方もより充実した印象。
すこし使い勝手が良すぎて、弟子システムや、ほかの武器がかすんでしまった功罪もありそうだが、個人的には、使っていて楽しかった。
快適な操作性の一方…
実際に満足度の高い作品だったので、褒めてばかりでもよいのだが、ちょっと気になった点もあったので、ここで触れておこう。
操作性やシステムが確実にレベルアップを体感できる一方で、ゲームを遊んでいてストレスに感じたことがあった。
そのストレスの原因となったのが、一部のシーンにおける視認性の悪さ。
グラフィックの向上とリアルさを表現する中で、プレイ上での妨げに感じるほど、暗く感じる場面(ステージ)があった。
それが、ミスの許されないアクションシーンや、進行する上での探索シーンにあるので、無駄に時間を取られ、テンポの悪さを生んでいた気がした。
最後までエツィオらしさは健在!
若かりし頃より、浮名を流してきたエツィオ。
大導師と呼ばれるようになっても、醸し出す色気は健在。
…というより、渋さも加わり、ダンディズム全開なおじさまとして描かれている。
花の独身ということもあり、ラブロマンスな展開も用意されている。
運命の人ソフィアに向ける思いが、とても純情で、人を愛する気持ちを大切にしてきたエツィオの生き様が描かれている。
一方、デズモンドは…
前作で衝撃的なエンディングを迎えたデズモンド。
何やら容貌までかわり、ほとんど別人な印象。
これまで名前だけは聞いていた被検体16号も登場。
アニムスの中で繰り広げられる二人の会話には、希望らしきものはなく、また難解な部分も含まれ、ほとんど聞き流していた(苦笑)
考察が得意な人には興味深い話なのだろうが、アサシンの物語や、それを体感したいという思いが中心の私には、やや退屈な話であった。
アルタイルとエツィオの競演から終幕へ
今作のメインテーマは、初代の主人公であるアルタイルの記憶をエツィオが追うことに置かれている。
そこには、初代を遊んだ人なら懐かしいと思う場面もある。
そして、これまで語られることのなかった、その後の人生を追体験していくことになる。
そこには、アサシンクリードの原初であり、始祖ともいえる人物の悲劇と苦悩が切々と描かれていた。
老いてゆく中でも、アルタイルの人生と選択は過酷なものばかりである。
それでも、最後まで己を見失うことなく、家族への愛も忘れず生きていく姿には胸を打たれる。
だからこそ、最後に選んだ生き方は、悲しくも尊い。
アルタイルとエツィオ。
ともに伝説のアサシンと呼ばれる二人が、時を超えて邂逅するエンディングは、4作に渡って描かれるシリーズの最後を飾るに相応しい。
二人のアサシンによる激動の人生を、ゲームを通して追体験できたことを、本当に幸せに思う。