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ペルソナ使いにも休息は必要
主人公たちが、シャドウとの過酷な闘いの日々に費やすことに心配してくれたのか、幾月理事長より、試験明けの休みを利用して、旅行を提案される。
まだ、気の抜けない展開ではあるが、シャドウが決まって満月に襲来することが判明した事もあり、休めるうちに心身のリフレッシュを図ろうという事なのだろう。
当初は、あまり賛成をしていなかった美鶴だったが、旅行先の屋久島に父親が滞在している事を知らされ納得する。
もちろん、今回の旅行で最も喜んでいたのは、やはり順平だった。
前回のシャドウ討伐以来、仲間たちと壁を作っているようなことが続いていたので、久しぶりに順平らしい表情が見れて、少し安堵した。
雪解け間近か
10年前の事故を巡って、少し距離が出来ていたゆかりと美鶴。
旅行の話も決まり、ゆかりの方から声をかけ、美鶴もいつになく穏やかな表情で応えていた。
その中で、美鶴が、前回の幾月による話では伏せられていた、事故の生存者がいることを話す。
その生き証人とされる人物こそ、今度の旅行先に滞在している自身の父親だと告白。
美鶴が今回の旅行を承諾した理由には、そのことも関係しているようだ。
旅行前にも様々な出来事があった
放課後、順平の方から、最近の自身における態度について話しをしてきた。
やや、ばつの悪そうな感じではあったものの、順平なりに色々と悩みがあった上でのことだろう。
主人公が、気にしていないと答えると、ホッとしたよう表情を見せ、ようやくいつもの調子を戻したようだ。
幾月より集合してほしいと連絡があり、みんなで下校するときの一幕。
以前、風花にいじめを行っていた一人の森山夏紀から声をかけてきて、補習を付き合ってほしいと頼んでくる。
そこでのやりとりで、風花が『夏紀ちゃん』と親しく呼んでいたことが印象的だった。
もう、二人の中にわだかまりのようなものはなく、いまは気の置けない友達のようにさえ感じた。
結局、風花は夏紀の補修に付き合うことにし、二人で仲良く校内に戻っていった。
こうした、日常における、人間関係の進展を丁寧に描いてくれているのも、本作の魅力といえる。
この日はイベントが盛りだくさんだった。
話があると連絡があった幾月の方から学校まで訪ねてきた。それも、その話の中心という、新たな仲間候補を伴って。
驚くことに、新しいペルソナ使い候補として紹介されたのは、以前にもあったことのある男子小学生の天田乾だった。
天田は、戸惑いが隠せないみんなを前にしても、堂々と自己紹介をする。
そうした天田の姿に、特に動揺を見せていたのは真田だった。先にゆかりたちが知り合いであることにも驚いていたし、何かあるのだろうか?
幾月の話によると、天田はすでに両親を亡くしており、現在は遠縁からの学費の保証で月光館学園に通い、初等科寮で暮らしているとの事。
そして夏休みの間も寮に残る予定との事で、それならと、夏休みの間、主人公たちの寮で一緒に暮らすことを提案したようだ。
もちろん、そうした事情ならと反対する者はいなかった。
それよりも、天田はもとより母子家庭で、その母親が一昨年に事故で亡くなったと自ら説明していたが、その事故もシャドウと関連しているのだろうか。
淡々と自身の身の上を話す天田の姿も印象的であり、いろいろと気にかけてあげたい存在でもある。
いざ屋久島旅行へ!
ついに迎えた屋久島旅行!
…しかし、それぞれ抱えている悩みや事情もあり、順平を除いて、一同に沈み込んだような表情である。
屋久島では美鶴の邸宅で過ごすことになる。
テレビでしか見たことのないような豪邸に、メイド姿の女性たちに出迎えられる光景には、みんなが驚きを隠せずにいた。
そんな状況でも、悠然と構える美鶴は、やはり生粋のお嬢様という感じだった。
一行を部屋に案内しようとしたときに、精悍な紳士が登場。
紳士は、美鶴の父だった。
美鶴の挨拶にも無言で返す。そのやりとりには、とても仲睦まじい親子という雰囲気はなかった。
ただ、突然の客である主人公一向に対して、邪険にするような態度もなく、もとより寡黙な人物なのかもしれない。
貴重な水着ショー!
旅行、海もきれいな屋久島、そして、青春真っ盛りの高校生となれば、ビーチタイムという流れらしい。
ひとり盛り上がる順平に、一貫してトレーニングに励もうとする真田。ここでもそれぞれの個性が見れて、親しみが持てる。
女性陣が登場とともに、まるで水着審査だといわんばかりに、順平の司会っぷりにも熱が入る。
それぞれが可愛らしい水着姿を披露する中、トリを飾ったのは、美鶴先輩。
その透き通るような白い肌には、同性の風花やゆかりも羨むほどで、普段、表情を崩さないゆかりも、慣れない称賛に頬を赤らめる一幕も。
桐条グループによる罪の行方は…
昼の楽しいひと時から一転。
その日の夜、美鶴と父である桐条武治。親子での会話が行われる。
思えば、到着した時には、武治は言葉一つ発さなかったので、初めての会話でもある。
武治の言葉は、表面的には厳格だが、その心底には、娘を思う父親の顔を見ることが出来た。
武治との会話で、まだ美鶴は主人公たちに言えない何かがあるようで、それを指摘される。
その時に、武治が美鶴を諭した言葉が心に残る。
『調和する2つは、完全なる1つに勝る』
個の力を頼みにするのではなく、信頼できる仲間との和をもって、事に向かえという意味合いのようだ。
言葉自体にも惹かれたのだが、この信条が生まれるきっかけとなったのが、桐条家が南条家と別れたときと、語られていた点だ。
南条と言えば、初代ペルソナや次回作の2にも登場した、あの南条家を思い出す。
ここで、桐条家との意外な関係が明らかになり、シリーズファンにはニヤリとさせられる場面ともなっている。
会話の中で、武治はゆかりのことに触れる。
明確にはしなかったが、ゆかりがペルソナ使いとして選ばれたことに、苦渋を滲ませ、運命と語っていた。
この一言で、以前にゆかりに送られてきた、父からの手紙の内容と符合する。
…やはり、嫌な予感は当たっていたようだ。
会話の後、武治は美鶴に仲間たちを集めるよう指示。その目的は、自ら知っているすべてを明かすというものだった。
どうも、楽しい旅行だけでは終わらないようだ。