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母なるものニュクス
意識を戻した綾時の話を、アイギスを除く、メンバー全員が聞く。
デスと呼ばれ、死の宣告者と言う話を聞いた後でも、やはり目の前にいる綾時を、脅威や敵とみることは出来ない。
それは他のみんなも同じようで、彼をデスと呼ぶ者はいない。
前回では、その存在を説明する言語がないと言われたていたが、今回ついに、綾時により、母なるものの名がニュクスであることが明かされる。
ニュクスの目覚めは、全人類の命が消える事を意味しているという衝撃の事実が伝えられる。
ニュクスの与える滅び、死は、いま街で見かけることが出来る影人間化を意味していた。
私たちが知る、死や滅びとは少し違うものの、自我や意識を失い、生きた屍のような影人間化は、確かに死や滅びに相当するのかもしれない。
死の宣告者が意味するもの
ニュクスによる滅びの話を聞いたゆかりは、それに対抗する手立てがあるのかを訊ねる。
しかし、それに対する綾時の答えは明確でとても残酷なものだった。
死の宣告者である自分が誕生した瞬間に、避けようのない死=滅びが確約されたと説明する。
あまりに突然の、そして無情な事実を前に、その場にいるみんなが声を失う。
既に滅びの足音はそこまで
滅びのやってくる時期がいつなのかを訊ねる真田の問いに、綾時は、次の春を迎えることは出来ないだろうと答える。
絶対不可避の滅びを前に、抗うすべもなく、残された猶予も少ない事が知らされる。
絶望に打ちひしがれるみんなを前に、綾時は主人公の中に封印されていた時間の中で、僅かばかり人としての性質が残っていることを説明する。
そして、この後、驚きの選択肢を迫る。
綾時からの究極の選択
死の宣告者という本来の役割は終えた綾時。しかし人としての性質が残っているおかげで、主人公たちに、滅びを前にして選択肢をあげることが出来ると話す。
それは、主人公たちのこれまでの記憶を一切なくし、滅びの瞬間を迎えるまで、普通の学園生活を送ることができるようになるというものだった。
シャドウ、影時間、タルタロスや活動部での記憶を消去すれば、滅びを待つ間の恐怖も消すことが出来る。
しかし、それは同時に、これまで築いてきた掛け替えのない思い出を失うという事だ。
ただし、その選択肢の条件として、主人公の手で綾時を殺さなければいけないことが本人より語られる。
本来、死の宣告者である綾時は、ニュクスと同じような存在なのだが、主人公との一体化により人としての部分が生まれた。その器とされていた主人公なら、綾時を殺すことが出来るという話だった。
しかし、それを選択肢と呼ぶには、あまりに残酷で悲しいものだ。
綾時の話をこれまで黙って聞いていた仲間たちから、戸惑いや、行き場を失った怒りの声があがる。
混乱する活動部のみんなを前に、綾時は僅かばかり、時間の猶予がある事を伝える。
期限は12月31日。それを過ぎると綾時が影時間の闇の溶けてしまい、接触することが出来なくなるとの事。
そして最後に、自分はどうせニュクスの訪れがくれば、役割を終えて消える存在だから、心配はいらないと、どこか他人事のように語る。
しかし、それが主人公たちに、罪の意識を背負わせたくない思いやりから出た言葉に聞こえ、余計に切なくなる。
姿を消す綾時
綾時は、期限の日にまた来ると言い残し、寮を後にする。
順平が、すぐにその後を追おうとするが、風花より、外に出た瞬間に、綾時の気配が完全に消えた事が伝えられる。
これにより、やはり、信じれない話だが、綾時は人間ではないのだという事がその場にいるみんなに伝わる。
ようやく明かされたニュクスの正体。しかし、その存在はあまりに途方もなく、突然、知らされた滅びの真実が重くのしかかる。
そして、唯一の選択肢も、恐怖から一時のみ逃れるだけのものだった。