舞台は、ジャングル、山岳、雪山、沼沢地など様々な自然環境が存在する、美しく、貧しく、危険な南米ボリビア。この地を手中に収め、世界最大のコカイン生産拠点とした巨大麻薬カルテル「サンタ・ブランカ」を壊滅させることが、今回のゴーストの任務だ。プレイヤーはゴースト部隊のリーダー、ノマドとして、3人のチームメイトを指揮しながらボリビア各地を転戦する事になる。1人でストーリーを楽しめるのはもちろん、最大4人での協力プレイも可能。
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ゴーストリコンシリーズを初プレイした感想
同じユービーアイソフトの作品ということもあり、ファークライシリーズに近い作りに感じた。広大なマップを転々としながら、敵対する組織の拠点や重要人物を潰していく。その過程はファークライの各地の拠点制圧と似ており、その経験は本作でも活かすことができた気がする。
ファークライシリーズのそうした各拠点を虱潰しにしていく工程を作業として捉えるのではく、遣り甲斐に感じる人なら、本作でも同じような遊び方ができるので、違和感なくプレイできるのではないだろうか。
もちろん、ファークライシリーズと似ている部分があるからと言って必ずしも本作との相性が保証される訳ではないとも思う。ファークライシリーズは、スキルツリーによる成長要素とは別に超人的な力を獲得できる設計となっている(一部除きながら)
一方、ゴーストリコンワイルドランズは、主人公が特殊部隊ゴーストを率いるリーダーという設定で、指揮下にある隊員3人(AIもしくはオンラインでマッチングしたプレイヤー)の協力(指示)を基軸にしたゲーム設計。
隠密行動を旨とする特殊部隊にスポットをあてたゲーム性である以上は、当然、プレイヤーに求められるプレイスタイルも如実に違いが出てくる。例えば、ファークライであれば、多少と無理な特攻プレイでも攻略可能なことも、本作では割と簡単にダウン(行動不能)させられることや、永遠と敵の増援が来る場面もあったりするので、自然、戦略的行動を取らざる得ないことが多い。
しかし、それが決してデメリット部分というのではなく、むしろ、これが本作の醍醐味といえる。攻略拠点を攻略するときには、少し離れた場所から双眼鏡やドローンで敵情視察を行い、敵の戦力、配置を把握し作戦を立てるという流れが基本。小規模な拠点であれば単独で作戦実行も可能だが、中、大規模の拠点ともなれば、手に余ることもあり、その時に発揮するのが前述した指揮下にあるAIによる隊員3名である。
AI隊員には、予め用意されている指示を出す形となっている。ただし各人それぞれに指示を出すことは出来ない。ただ、それが弊害となることはなく、寧ろ、チームとして動いてくれるので、なりゆきお互いをカバーし、チームとして統一感を維持することに繋がっている。
また、射線を確保できればスナイパー的役割も果たしてくれ、スキルツリーの条件を満たすことで最大3人同時に敵をしとめることができる。それも彼らが了解さえすれば、絶対に失敗しない。例えるならゴルゴ13が3人もいるようなものだ。そうした優秀で忠実な隊員を従える指揮官を演じられることが本作最大の魅力に感じた。
良かった点と気になった点
・作りこまれたボリビアの雄大なマップをオープンワールドで楽しむことが出来る
・演出部分を除いて、シームレスで展開されるので緊張感が途切れにくい
・数多くの武器とパーツがあり、さらにそれを強化することもできる
・AI隊員が作戦上の装置に留まらず、親しげに話しかけてくるので愛着が持てる
・物語の演出手段が秀逸で、モチベーションを上げてくれる
・自分の立案した作戦を試みたり、自らステルスゲームのように潜入を楽しむなど、幅広いアプローチで遊ぶことが出来る
・TPSにおける視点がやや悪く、思ったような立ち回りが難しいと感じることがある
・舞台となるボリビアは内戦状態に陥っているので、人々の暮らしや表情に翳りがみられ、物語も陰惨なものが多いので、人によっては気が滅入るかもしれない
・一部の敵勢力が途切れることなく増援部隊を送ってくる事と、執拗な巡航ミサイルに辟易とすることがある
・武器の性能差を大きく感じない
・完全ステルス状態でも、割と感知されることが多い
・かなりの大ボリュームとなっているので、どうしても同じようなミッションの繰り返しに感じてしまう場合がある
壮大なボリビアを舞台にゲリラ戦を展開できるスケール感
本作は、ボリビアを拠点とする巨大麻薬カルテルのサンタ・ブランカの支配からの解放がゲームの目標として掲げられている。
緻密に描かれたボリビアが見せてくれる数々の景色は、ひととき過酷な任務を忘れ、思わず見入ってしまうほど。そうして描かれたオープンワールドは、攻略中に何度と眩暈を覚えてしまうほどの広大さを誇る。そして、区分けされたエリアごとに支配者が存在し、その一つ、一つを攻略していくことがゲームの本筋。
ただし、決まった順序のようなものはなく、ゲームスタート時より各プレイヤーの判断で攻略手順を踏んでいく。当然エリアごとに設定されている難易度があるので、そこは、指揮官であるプレイヤー次第である。
物語では、サンタ・ブランカが如何に凶悪極まりないかという形で描かれており、そこには人によって目を覆いたくなるよう残酷なシーンもある。それだけに万人におススメできるとは言い難いのだが、そうした悪党たちを追い詰め、破滅へと導いていくことに快感が得られるのも確か。
ゲームを進行(攻略)していく中で、たびたびサンタ・ブランカを率いるエル・スエーニョの視点に切り替わるのだが、そこで語られる内容が、組織を追い込んでいく様子がリアルタイムで感じられる演出となっており、俄然、任務に対してのモチベーションを上げてくれる。
プレイをしていて感心したと言えば、すべてがシームレスで展開されることもその一つに挙げられる。それは、エリアを支配するボスとの戦闘でも一貫され、特別なステージやルール制限が設けられることもない。そのため、特別に高揚感を掻き立てられることもなく、基地攻略の任務の一つとして処理する。
有り体に言えば、消す(殺害)ことが目的の場合であれば、自ら手を下す必要もなく、隊員に指示を出して決着させることもできる。この点を特殊部隊のもつシビアさと受け取るか、演出不足と受け取るかはそれぞれ。個人的には前者で、作戦中の緊張感を途切れさせることなく終始プレイできたことは、特殊部隊の性質を具現化しているように思えた。
また賛否を分けるといえば、ラスボスとなるエル・スエーニョとの決着に関しても言えるのだが、ネタバレを避けたいのでここでの言及を控えさせて頂く。ただ、主人公は英雄ではなく、あくまで特殊部隊に属する兵士という役割を考えれば、割と納得もできた。
それも、重厚に展開される物語と、そこに特殊部隊を操作し積極的に介入できるゲームならではの遊びの部分があればこそで、不満が燻ることもなく、完全燃焼することができた。