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黄昏の錬金術師、新たな旅路へ!『アーシャのアトリエ』徹底レビュー【滅びゆく世界の始まり】

投稿日:2022年5月26日 更新日:

幾度めかの黄昏の時代が始まり、再び何度目かの慎ましやかな生活が取り戻されつつある世界の、とある一地方。
そこには、国家のような統治された組織は無いものの、人々が手を取り合って暮らしていた。

その中に、人里離れたアトリエで薬を作って生計を立てている、一人の女の子がいた。
彼女の名前はアーシャ。

以前は祖父と妹と三人で暮らしていたが、数年前に祖父が他界した後、妹も行方不明となってしまい、今はペットのうしがいるだけで、天涯孤独の身となっている。

妹がいなくなってからしばらくは失意の底にいたが、祖父の頃から取引している旅の商人の協力もあり、新たな生きがいを見つけ、立ち直ることに成功するのだった。
そして、哀しみの記憶も少しずつ薄れ始めていたころ。

いつものように薬の材料を探して、アトリエ近くの遺跡に出掛けたアーシャは、そこで、いなくなったはずの妹の姿を見かけることになる。

妹が生きていて、世界のどこかにいることを知ったアーシャは、すぐさま妹を探すために旅立つことを決意する。
手がかりなんて何もないし、何をすればいいかもわからない。

ただ、この世界のどこかで、妹と再会できることだけを信じて。

『アーシャのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~』:黄昏の幕開け、そして錬金術の新たな地平

ガストの人気RPGシリーズ「アトリエ」の新たな幕開けを飾る【黄昏シリーズ】の第一作、『アーシャのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~』をクリアしました。滅びゆく世界をテーマに掲げた本作は、これまでの「アーランドシリーズ」とは一線を画す、どこか物悲しいトーンを帯びた物語と世界観が特徴です。しかし、主人公アーシャの持ち前の明るさや、彼女が出会う個性豊かな仲間たちのひたむきな生き様が、暗くなりがちな物語に彩りを与え、これまでのシリーズと同様の温かい雰囲気を生み出しています。

黄昏の世界で紡がれる、妹との再会を目指す旅

物語の核心は、行方不明の妹ニオとの再会を果たすため、アーシャがゼロから錬金術を学び、仲間と共に冒険する壮大な旅路です。肉親を探す旅という点では、「アーランドシリーズ」の『トトリのアトリエ』を彷彿とさせますが、アーシャの物語はトトリのそれに比べると、良くも悪くも大きな起伏や劇的な展開は控えめです。

序盤からニオの幻がたびたび現れるため、彼女の無事自体は確認でき、過度な不安に苛まれることはありません。しかし、だからといって安堵ばかりもしていられません。ニオを元の世界へ連れ戻すには並々ならぬ努力が必要であり、さらにアトリエシリーズ特有の期限付きシステムが絡むため、初回プレイでの救出はかなりの難易度を誇ります。実際、私も一周目では救出に失敗し、装備と資金を引き継げる二周目にしてようやく、念願の妹との再会を果たすことができました。

ニオとの再会後も、物語は終わりません。出会った仲間たちの新たな依頼が追加されたり、ラスボスをも凌駕する強力なモンスターが各地に出現したりと、やり込み要素も非常に豊富です。物語全体としては、当時のシリーズ化を見越してか、アーシャの物語だけでは全容が見えにくい部分もあり、それが物語の重厚さに欠ける印象を与えるかもしれませんが、ゲーム全体のクオリティとボリュームは、これまで同様に「時間泥棒」と呼ぶにふさわしい充実ぶりでした。

進化した錬金術と、手に汗握る戦闘システム

本作で特に大きな変更が加えられたのが、錬金術のシステムです。前作『メルルのアトリエ』までの仕組みから大きく変わり、最初は戸惑いを覚えるかもしれません。これまでの知識が全く役に立たないわけではありませんが、もしかすると、本作で初めてアトリエシリーズをプレイする方の方が、すんなりと新しいシステムに適応できるかもしれません。

新しい錬金術システムでは、一つのアイテムを調合する際に、限られたコストポイントをいかに効率的に使いこなすか、そして様々な材料の組み合わせを試行錯誤するクリエイティブな思考が求められます。最初は「できないこと」の方が多く、まさに苦心の連続でした。しかし、アーシャの成長と共に調合の可能性が広がり、試行錯誤の末に理想のアイテムを完成させた時の達成感は、これまでのシリーズ以上に強く感じられました。

惜しむらくは、そこに至るまでのゲーム内での説明がやや不足している点です。私も途中で攻略サイトや動画を参考にしながら学びを深めました。しかし、そうしてシステムを理解していくことで、これまでにない実験的な調合の面白さが生まれ、それが本作の大きな魅力の一つとなっています。

戦闘システムに関しては、追撃バックアップといった新要素が加わり、戦術的な深みが増しました。基本的な流れは「アーランドシリーズ」を踏襲しており、これまで同様に直感的にプレイできる取っつきやすさが健在です。

ただし、主人公であるアーシャ自身の戦闘能力には、少々物足りなさを感じました。他の仲間たちが固有スキルやゲージを溜めて放つ必殺技を持っているにも関わらず、なぜかアーシャはどちらも使用できず、通常攻撃かアイテムの使用のみで戦うことになります。アーランドシリーズの主人公たちは皆、それぞれに特徴的なスキルや必殺技を持っていました。

アーシャが自身を「薬師」と名乗り、錬金術師の存在や知識を一切知らないという斬新な設定が関係しているのかもしれませんが、それにしても、RPGの主人公としてスキルや必殺技がないというのは、彼女の戦闘における存在感を薄くしてしまう可能性もあります。特に一周目では、装備を整えるのも、錬金アイテムを充実させるのも難しく、アイテム頼みにならざるを得ないアーシャは、戦闘での活躍が難しい場面が多く見受けられました。この点は、周回プレイを重ねても大きく変わることはありませんでした。

全体的な進化と、今後のシリーズへの期待

全体的に見れば、本作はアトリエシリーズの根幹を大切にしながらも、見事にマイナーチェンジを成功させた作品と言えるでしょう。

良かった点

  • 万人受けしやすい魅力的なキャラクターデザイン:主要人物がほぼフルボイスで、物語への没入感を高めてくれます。
  • 自由度の高い課題選択:これまでのシリーズに比べて、どの課題からこなしていくかをプレイヤーの意思で自由に選択できるようになり、プレイの幅が広がりました。
  • 耳に残る印象的な音楽:ゲームの世界観を彩るBGMは、耳に残る名曲揃いです。
  • 選択可能なエンディング:条件を満たした複数のエンディングの中から、プレイヤーが好きなものを選択できるようになりました。
  • 充実したやり込み要素:エンディング後の追加要素や強力なモンスターの出現など、クリア後も長く楽しめます。

気になった点

  • 豊富なイベントシーンとコンプリートの難しさ:イベントシーンが非常に多く、全てを回収してコンプリートを目指すとなるとかなりの労力を要します。
  • アーシャの戦闘能力の偏り:アーシャにのみスキルや必殺技がなく、MPのステータスがほぼ活用されていない点が惜しまれます。
  • 調合システムの変化による印象の変化:素材や調合の仕組みがアーランドシリーズから変化し、ややあっさりとした印象を受けました。決して簡単になったわけではありませんが、錬金術の奥深さという点で面白みが減ったと感じるかもしれません。
  • 初回プレイでのベストエンディングの難易度:攻略サイトなどを見ない限り、一周目で最高のエンディングを迎えるのは非常に難しいです。

『黄昏シリーズ』の幕開けにふさわしい、無限の可能性を秘めた一作

「アトリエ」シリーズの新たな幕開けを飾る本作は、連作のように予備知識を必要とせず、初めてプレイする方にも非常におすすめできる一本です。調合システムは決して取っつきやすいとは言えませんが、深く学ぶことで、アーランドシリーズ以上に錬金術の醍醐味を表現することに成功しています。

物語はやや平坦で盛り上がりに欠けるかもしれませんが、その分、アーシャをはじめとする登場人物たちの魅力が物語に彩りを添えています。個性的な仲間たちと共に挑む冒険の先に待ち受ける敵モンスターたちも手応えがあり、バトル面でもやりがいのある内容となっています。

シリーズの冠である「黄昏」が何を意味するのか、第一作である本作では全てが語り尽くされていないと感じる部分も多く、それがまさに新たに幕を開けたシリーズの主題となっていくのでしょう。その興味も含めて、続編をプレイしたいと強く思わせてくれる力と可能性を、本作は十分に伝えてくれました。

まだ『アーシャのアトリエ』をプレイしたことがない方は、この「黄昏の物語」の序章を体験してみてはいかがでしょうか?

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