チーズフォンデュという「魔法の響き」に誘われて

スーパーのパンコーナーで、一際目を引くパッケージに出会いました。それが今回ご紹介する、フジパンの「チーズフォンデュフランス」です。
チーズフォンデュ。その言葉の響きだけで、とろりと溶け出す濃厚なチーズの海と、そこに絡まる芳醇な香りが脳裏をよぎります。それを手軽なパンの形で楽しめるというコンセプト。パッケージに描かれたイメージ画像からも、チーズの濃厚な味わいがこれでもかと伝わってきます。
もちろん、これはあくまでイメージであり、100円前後の菓子パンに本家そのままのボリュームを求めるのは酷であることも承知しています。しかし、果たしてどれほど「チーズフォンデュ」を体験させてくれるのか。その一点に注目して、実食レビューを開始したいと思います。

なめらかな口あたりのフォンデュソースを包んだそふとふらんす


第一印象:タイガーロールの美しい「トラ目模様」に惹かれる

袋から取り出してみると、まず目に飛び込んできたのはパン表面の独特な模様です。 調べてみると、これは「ダッチトッピング」と呼ばれる手法で、現在は「タイガーロール」という呼び名が一般的だとのこと。その名の通り、トラの縞模様を連想させるひび割れた質感は、視覚的にも非常に食欲をそそる仕上がりになっています。
触ってみての感触は、商品名の通り「ソフトフランス生地」らしく、ふんわりとした柔らかさの中に、適度な弾力を秘めています。なめらかな口当たりのフォンデュソースを包んだというこのパン。外側のクオリティが高いだけに、中の主役への期待は嫌でも高まります。
断面検証:おっさんを襲った「チーズ消失」の衝撃

いよいよメインであるチーズの状態を確認すべく、パンを半分にカットしてみました。 しかし、そこで私の目に飛び込んできたのは、予想だにしない光景でした。
「……んっ、チーズはどこだ?」
一瞬、入れ忘れを疑うほどの空洞。目を凝らしてよく探してみると、ようやく生地の底の方に、申し訳なさそうに押しつぶされた形で入っているチーズソースを発見しました。
正直に申し上げましょう。この時点での私の印象は「思っていたのと全然違う!」という戸惑い一色でした。パッケージのイメージがあまりにも雄弁だっただけに、この生地に圧倒されてしまっているチーズの姿は、あまりにも寂しく映ったのです。
実食レビュー:生地の旨さと、拭いきれない「主役不在」の寂しさ

そんな不安を抱えながらも、気を取り直して一口運んでみました。
パン生地自体のクオリティは流石の一言です。ソフトフランスらしいふんわり感の中に、ダッチトッピング特有の香ばしさと、やや歯応えを残した味わい深い食感。パンとして単体で評価するならば、非常にレベルの高い仕上がりです。
しかし、やはり問題はチーズです。 圧倒的に、絶対的に量が足りない……。 仮にも「チーズフォンデュ」を冠するのであれば、あの濃厚なソースを口いっぱいに頬張る瞬間の喜びを、少しでも再現してほしかった。一口食べるごとにソフトフランスパンの印象ばかりが強まり、主役であるはずのチーズの存在が完全に二番手に甘んじてしまっているのは、非常に致命的であると感じました。
本家ほどの贅沢は望まないまでも、世の中にはこのパン以上にチーズがたっぷり入ったパンはいくらでも存在します。その中で、あえて「フォンデュ」を名乗ったからには、もっと挑戦的なボリュームを期待してしまいました。
結論:コンセプトに「愛」が欲しかった一品
フジパン「チーズフォンデュフランス」
総評としては、パン生地の完成度は素晴らしいものの、チーズフォンデュという夢のある名前に対して、中身のボリュームが追いついていない、大変残念な結果となりました。
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パン生地の食感や、タイガーロール特有の香ばしさを純粋に楽しみたい方
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チーズはあくまで「隠し味」程度、控えめな塩気を求めている方
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パッケージのイメージと現実のギャップを、一つの経験として楽しめる方
こうした方々にはお勧めできるかもしれませんが、本物のチーズフォンデュのような「濃厚なチーズの海」を期待している方は、少し慎重になった方が良いかもしれません。
おっさんとしては、この素晴らしいパン生地に、溢れんばかりのチーズソースが詰まった「真のチーズフォンデュフランス」に出会える日を、フジパンさんの今後の進化に期待して待ちたいと思います。次にこのパンを手に取る時は、自宅のチーズを自分で足して「セルフフォンデュ」にするのが正解かもしれませんね(笑)