「かぼちゃプリン」という高いハードル

スーパーやコンビニのパンコーナーで見かけた時、真っ先に脳裏をよぎったのは「かぼちゃクリームパン」ではなく「プリンの要素をどう表現するのか」という疑問でした。
フランスシリーズが持つ最大の強みであり、手に取る側が最も期待を寄せるポイント(アイデンティティ)は、やはり「ふんわりしっとりとしたフランス生地」と「こだわりのフィリング」の掛け合わせにあります。 日々の激しいタスクをこなす大人にとって、ティータイムのパンは、季節の移ろいを感じるための小さな楽しみ。神戸屋が仕掛けたこの「かぼちゃプリンのパン化」という挑戦が、どれほどの満足感をデリバリーしてくれるのか。期待を込めて開封していきましょう。


なめらかで濃厚なかぼちゃプリンクリームをサンドしたフランスロールです。


「フランス」の名に恥じない安定のクオリティ


パッケージを開けると、お馴染みのフランスロールの姿がお目見えします。
まず評価すべきは、生地の完成度です。これはさすがと言わざるを得ません。噛み切った時のふんわりとした柔らかさと、しっとりと水分を保った食感は、定番シリーズならではの盤石の安定感。中のフィリングをしっかりと受け止め、口当たりを優しく整えるその役割は完璧です。 また、パンの間に見えるフラワーペーストは、かぼちゃを彷彿とさせる美しい黄金色。見た目だけでいえば「これは間違いなく美味しいはずだ」という期待感を煽るには十分な仕上がりです。
「物足りなさ」の正体!プリンの深みはどこへ?
それでは、一口ゆっくりと口へ運び、本音の味覚検証を開始していきましょう。
「……なるほど。見た目の期待値が高いだけに、この味わいは非常に惜しいと言わざるを得ない。」
正直に告白します。一口食べて驚いたのは、その「かぼちゃ感」の控えめさです。「かぼちゃプリン」と銘打っている以上、かぼちゃ本来の濃厚なコクと、プリン特有の甘く芳醇な風味を期待してしまうもの。しかし、実際にはそのどちらもが、どこか控えめに感じられてしまいました。 かぼちゃの風味はかなり穏やかで、プリンの卵感やキャラメルのようなほろ苦さといった「プリンらしさ」も、正直なところ感じにくいのが本音です。せっかくのフランス生地が美味しいだけに、中のフィリングがその魅力に追いついていない印象。もう少しパンチ力があれば、このパンは一気に化けたはずです。
コンセプトは秀逸!「あと一歩」を求める大人たちへ
全体をトータルで評価したとき、この「かぼちゃプリンフランス」は、コンセプト自体は非常に魅力的でありながら、味の輪郭がやや曖昧になってしまっているという結論に至りました。
生地のクオリティは文句なしの金メダル級です。しかし、期間限定で「かぼちゃプリン」を名乗るからには、もう少し素材の主張が欲しかったところ。かぼちゃ好きな方や、甘い菓子パンをこよなく愛する方にとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。しかし、この「あえて少し控えめな味」を好む層にとっては、日常のささやかなおやつとして十分に楽しめる範疇とも言えるでしょう。
物足りなさを「リッチ」に変える知恵
このかぼちゃプリンフランスのポテンシャルを、少しでも引き出すための「おっさん流」の極意をご紹介します。
※おっさん直伝のスマートな愉しみ術 もし「味が薄いな」と感じたら、ぜひ「追いシナモン」か「メイプルシロップ」を一垂らししてみてください。 シナモンの香りがかぼちゃの風味を底上げし、メイプルシロップの甘みがプリンの不在を補ってくれます。また、トースターで少しだけ表面を焼くと、生地の香ばしさと中のクリームが馴染み、生のパンを食べるよりもずっと「デザート感」がアップしますよ。この一手間で、パンの持つポテンシャルはガラリと変わります。
リピートは慎重に!秋の挑戦作をどう楽しむか
今回、神戸屋の「かぼちゃプリンフランス」をじっくりと体験してみて、コンセプトを形にすることの難しさを改めて深く見極めることができました。
生地の安定感は流石の一言ですが、肝心の「かぼちゃプリン」の再現度については、今後の改良に期待したいところです。
「季節感のあるパンを食べてみたい!」。そんなニーズにおいて、このパンは秋の気分を楽しむための「きっかけ」としては十分に機能してくれます。
スーパーやコンビニのパンコーナーで見かけた際は、ぜひご自身でこの「挑戦作」を手に取ってみてはいかがでしょうか。一口食べれば、きっとあなたも「ここはもっとこうすれば……」という独自の改良アイデアが思い浮かぶはず。そんな想像を膨らませながら食べるのも、また一興ですよ!