孤児である少年・エアルが暮らす町が、何者かに襲われ炎に包まれた。
町の守り神である空の神様(グリモア)・ノグアルドは、
襲撃をきっかけに長い眠りから目覚める。
町を襲った犯人を探すため、エアルはノグアルドと契約し、広い世界へと旅立つことになる。旅の最中で出会う仲間たちと、そしてグリモアたちとの絆と友情。
心の結びつきは、彼らをどんな冒険へと誘うのか…!?
描きこまれた昔懐かしいドット絵の、温もりあるキャラクターたちと遥かな旅へ!
コンパクトにまとまった安定の良作RPG
ケムコが手掛けるRPGということで、今回プレイした『空のフォークロア』もまた、安定した完成度で楽しませてくれました。物語やゲームシステムに尖った個性があるというわけではありませんが、そのぶん、古き良き王道RPGの要素をぎゅっと詰め込んだような、懐かしさを感じさせる作品となっています。
ストーリーはオリジナリティに富んでいるとは言えないものの、丁寧な構成で展開されており、プレイヤーを安心して物語世界に引き込んでくれる印象です。極端なサプライズや難解な要素が排除されている分、ゲームの敷居は低く、誰でも気軽に楽しめる仕上がりとなっています。
スリムな構成でスッと遊べる
本作では、主人公を含む3人の固定パーティーを中心に物語が進行。そこに加わるのが、戦闘やスキルのサポート役として登場する「グリモア」と呼ばれる存在です。このグリモアとの組み合わせによってスキル構成を調整するシステムは、簡潔ながらもしっかりとした戦術性があり、やり過ぎ感のないバランスが絶妙でした。
近年のRPGでは、スキルツリーや育成システムが過度に複雑化していることも多く、そうした要素にやや疲れを感じている中年プレイヤーとしては、この“理解しやすく、すぐ楽しめる”構造は非常にありがたいものでした。
神と人の関係性がテーマのストーリー
物語の軸として描かれているのは、「グリモア」と呼ばれる神のような存在と、それに選ばれた主人公たちとの冒険。グリモアは信仰によって力を得る存在という設定になっており、単なるバトルサポーターではなく、人間と対等に心を通わせるパートナーとして描かれています。
その関係性は、時にコミカルで、時に真剣。軽妙なやり取りが多く、会話劇としても楽しめる点が本作の魅力のひとつ。重たい展開はほとんどなく、あくまでライトなタッチで物語が進行します。
とはいえ、クライマックスに向かうにつれて、神と人間の関係性に揺さぶりがかかる展開も用意されており、その静かなドラマに胸が熱くなる瞬間も。大きな山場やどんでん返しといった派手さはありませんが、穏やかに進みながらも心を動かす物語は、本作ならではの味わいがあります。
プレイ時間・ボリューム感
今回は、ストーリーの進行に加えて、キャラクターたちのレベルを上限の99まで育てるという寄り道をしながらでも、クリアまでにかかった時間はおおよそ10時間程度。短すぎず、長すぎず、ちょうど良いボリューム感で、忙しい中でも「ひとつRPGを遊びきった」という満足感を得ることができました。
派手なやり込み要素は控えめで、クリア後のコンテンツも軽めではありますが、それもまた“ライトRPG”としての方向性に合っており、「気軽に遊びたい人向け」というテーマに忠実な作りだと感じます。
良かった点と気になった点(まとめ)
良かった点
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スーファミ時代を彷彿とさせる懐かしい王道RPGの雰囲気
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移動速度が速く、テンポよく進行できる
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レベル上げがサクサク進み、ストレスフリー
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BGMが場面ごとにマッチしており、耳に心地よい
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グリモアによる柔軟なスキル構成の変更が可能
気になった点
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エンカウント率がやや高めで、テンポが損なわれることも
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通路と壁の違いが視認しづらく、マップに工夫が欲しい
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ドロップアイテムにレア感がなく、収集のモチベーションが湧きづらい
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成長システムに奥行きがなく、物足りなさを感じる場面も
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一部課金要素あり(主に時短に関わる内容)
総評:肩の力を抜いて遊べるRPGがここに
『空のフォークロア』は、奇をてらった新しさはないものの、その代わりに古典的なRPGの魅力をしっかりと再現した作品です。重厚な物語や複雑なシステムに疲れた時、肩の力を抜いてまったりとRPGを楽しみたい、そんな気分にぴったりと寄り添ってくれる一作でした。
グリモアとの掛け合いや、あたたかくまとまったストーリーを楽しみながら、気軽に冒険の旅を楽しめる。RPG初心者や、短時間で遊びたい人にもおすすめです。