物語の主人公(操作キャラクター)である王(王女)となり、自らの馬で大地を駆け、王国を築き、冒険を通じて領土を拡大しながら守り抜く。『Kingdom: New Lands』はシンプルなルールですが、多くの発見や出会いに満ち溢れています。王として、苦しい戦いに終止符を打つべく勇敢に立ち向かいましょう。
領内にはさまざまな秘密が散りばめられています。不思議な像や通りの人びとや道中のアイテムすべてがあなたの王国の礎となるでしょう。多くに気づき、多くを守ることで脅威となる全てから王国を守り抜くのです。
アイスランドのLicoriceとオランダのNoioという才能豊かなクリエイターの共同開発による当タイトルは「遊ぶことは簡単、でもマスターすることは容易ではない」というテーマのもとミニマルなRPGの再定義として世に送り出されました。
レトロな見た目に惑わされるな!戦略と経営が試される“横スクロール型”シミュレーション
一見すると、昔懐かしいドット絵で描かれた横スクロールアクションゲームのように見える本作『キングダム:ニューランズ』。だが、このゲームをただのレトロ調アクションと侮ってはいけない。実はれっきとしたシミュレーションゲームであり、さらにタワーディフェンスの要素も兼ね備えた意欲的な作品なのだ。
プレイヤーは王様(もしくは王女)として、小さな拠点から国を築き上げていく。行うことはシンプルで、金貨を稼ぎ、それを使って人材を雇い、拠点を拡張し、怪物たちの襲撃に備える――このループを繰り返す。ただ、それだけの繰り返しにもかかわらず、なぜかもう一回だけ…」が止まらなくなる中毒性があるのだ。
難しい操作や専門用語は一切ナシ、それでも歯応えは十分
本作の魅力の一つは、「シミュレーションゲームは難しそう」という先入観を良い意味で裏切ってくれる点にある。複雑なUIや専門用語は皆無。プレイヤーができる操作は、左右への移動と、金貨を投入するだけ。たったこれだけのインターフェースで、国づくりから防衛戦略までをこなす仕組みが実現されている。
敵との戦闘も、主人公自らが戦うわけではない。弓兵を雇い、砦を築き、投石器を設置して守りを固める。すべては戦力の管理と配置、そしてどこに投資するかという経営判断にかかっている。
しかし…極度な説明不足が、初心者には高すぎるハードルに
そんな魅力的なシステムも、初見プレイではなかなか味わうことができなかった。理由はただ一つ、圧倒的な説明不足である。
ゲーム開始直後から、プレイヤーに与えられる情報はごくわずか。チュートリアルは存在せず、用意された行動の意図や目的地の存在も不明。フィールドに点在するオブジェクトや、移動を助けてくれる動物たちの機能も一切説明されず、すべてが“手探り状態”で進行していく。
この不親切な作りは、特に初心者や普段あまりゲームをしない人にとっては「いきなり突き放された感」を強く与えてしまうだろう。実際、私も攻略サイトの助けがなければ、途中で諦めていたかもしれない。
知識を得た二周目は驚くほどスムーズに進む
だが、いったん基本的な情報を理解して再びプレイしてみると、本作の印象は一変する。
金貨の効率的な稼ぎ方、人材の雇用の優先順位、夜襲に備える守備の整え方など、一通りの知識が頭に入っていると、プレイの幅が一気に広がり、自分の選択によって国の運命が左右されていくという本来の面白さがはっきりと感じられるようになる。
あまりにチュートリアルを省きすぎている点には疑問が残るが、もしかすると、制作側はあえて“試行錯誤”を通じて攻略の喜びを感じてほしかったのかもしれない。
ストーリー性は希薄だが、戦略性とリソース管理が光る
物語らしい物語はほとんど存在せず、キャラクターにセリフもなければ、劇的なイベントもない。そのため、エンディングにもあまり期待はできないが、だからこそ「戦略そのものを楽しむ」ゲームに徹しているとも言える。
本作には全部で6つの島(ステージ)が用意されており、それぞれ異なる地形や資源配置、怪物の襲撃頻度があり、やりごたえは十分。一つの島をクリアするだけでも数時間かかることも珍しくなく、アンロック要素もあるため、繰り返し遊ぶたびに新たな発見がある設計となっている。
癖は強いが、ハマればやめられない“時間泥棒系”ゲーム
『キングダム:ニューランズ』は、レトロ調の見た目に反して非常に奥深く、戦略性とリソース管理が試されるシミュレーションゲームだ。あまりに説明が少ないため、初見では不親切な印象を受けるが、基本を理解すればその面白さが一気に開花する。
淡々とした時間の流れの中で、少しずつ国が発展し、やがて怪物の襲撃をしのぎきって島から脱出できたときの達成感は格別。シンプルながらも、何度もやりたくなる中毒性を持つ作品である。
もしこれからプレイする予定の方がいるなら、事前に基本的な情報だけでも軽くチェックしておくことをおすすめしたい。そうすれば、最初の理不尽さを回避し、よりスムーズにこのゲームの本質へとたどり着けるだろう。