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『アスディバインディオス』クリアレビュー:神の視点から描かれる、奥深くも心温まる物語

投稿日:2020年11月2日 更新日:

内容の説明
◆◇神の冒険、開幕!◇◆
幾多の精霊神が作りし、数多の世界──その中のひとつ、最も生命に溢れた幻想世界・アスディバインに「異変」が起きる。蔓延してゆく「ケガレ」。暗躍する黒服の男と謎の精霊。魔力のほとんどを失った精霊神・イザヨイは、麗しくも頼もしい精霊たちとともに、彼の愛した世界を守れるか? 超神級ファンタジーRPG、堂々の開幕!

©2015-2019 KEMCO/EXE-CREATE

神々の苦悩と人間模様が織りなす壮大な物語

「ギャルゲー」という先入観は、この素晴らしいRPGの魅力を覆い隠してしまうかもしれません。

『アスディバインディオス』は、タイトル画面から受ける印象とは裏腹に、プレイヤーの心に深く響く骨太な物語と、やり込み要素満載のゲームシステムが融合した珠玉のJRPGでした。

私自身も「どうせギャルゲーだろう」と半信半疑でゲームを始めた一人ですが、その杞憂はすぐに、この世界観への没入感へと変わっていったのです。

本作の核となるのは、生き物が持つ負の感情から生まれる「ケガレ」というテーマです。この普遍的な題材が物語の大きなうねりとなり、私たちの現実世界にも通ずる深い問いを投げかけます。

世界を創造し、統治する精霊神である主人公と、彼に仕える大精霊のヒロインたち。彼らが決して完璧な存在ではないという設定が、物語に奥行きとリアリティを与え、プレイヤーは「神」という超越した存在の苦悩を垣間見ることになります。

物語を彩るのは、個性豊かなキャラクターたちです。人間と一定の距離を置く主人公の神に、賑やかさと騒がしさを兼ね備えた3人のヒロインたち。

そして、神を憎み世界を滅ぼそうとする強大な敵、さらに模範的な勇者を地で行く好青年な傭兵。これらのキャラクターたちがそれぞれの役割を全うし、物語を加速させる歯車として機能することで、JRPGらしい王道かつ熱い展開を最後まで楽しませてくれました。

彼らの掛け合いや成長、そして時に見せる人間らしい感情が、プレイヤーの感情移入を一層深めてくれるでしょう。

圧倒的なやり込み要素とプレイヤーに寄り添う設計思想

本作は、以前レビューした『ドラゴンシンカー』を手掛けたヒットポイント開発ということもあり、育成面の充実ぶりには目を見張るものがあります。

ほんの一部を挙げるだけでも、レベリングのしやすさを徹底的に考慮したゲーム設計、それを強力にアシストする豊富な経験値アイテム、そして武器の強化付与効果の付け替えといった奥深いカスタマイズ要素。

さらに、自然な形で貯まる福引券から得られる魅力的なアイテムの数々、エンカウント率を調整できるアイテム、そして経験値を多く持つモンスターの出現率を上げる装備品など、プレイヤーがストレスなくキャラクターを成長させられる工夫が随所に凝らされています。

キャラクターの育成だけでなく、モンスターや福引券でしか手に入らないレアアイテム、武器の収集といった要素も充実しており、コンプリートを目指す楽しみも味わえます。

そして何より、物語の結末にはヒロインたちとのマルチエンディングが用意されており、まさに「至れり尽くせり」と言える内容です。

一方で、主人公と3人のヒロインという固定パーティーは、プレイヤーによっては好みが分かれるかもしれません。しかし個人的には、この固定メンバーだからこそ、主人公とヒロインたちの物語がより深く掘り下げられ、彼らの絆や成長が色濃く描かれていたと感じています。

パーティー構成の自由度が低いという古めかしい印象は拭えないかもしれませんが、その分、キャラクターの深掘りに注力した作り手の意図を感じることができ、納得感のある魅力へと繋がっていました。

飽きさせない工夫が凝らされた戦闘システムと耳に残るBGM

サイドビューで展開される戦闘シーンでは、主人公やヒロインたちがそれぞれの個性を活かした可愛らしいアクションを見せてくれます。細やかな動きは見ていて楽しく、キャラクターへの愛着も増していきます。

戦闘をさらに盛り上げてくれるのが、珠玉のBGMの数々です。気分が高揚するようなアップテンポな曲から、ボス戦やラスボス専用曲のような重厚でドラマチックな楽曲まで、耳に残る名曲が多く、思わず聴き入ってしまうほどです。

音に関するもう一つの魅力は、メインキャラクターに豪華声優陣が起用されている点です。残念ながら戦闘シーンでの短いセリフに限定されてしまいますが、やはりプロの声優による演技は、ゲームの臨場感を格段に高めてくれます。特に、往年のアニメファンにはたまらない緑川光さんのボイスが聴けるのは、嬉しいポイントでしょう。

戦略的な戦闘システムも本作の魅力の一つです。各自の武器と魔法のスキルラインに加えて、任意の2人によるユニゾンシステムは、バリエーション豊かな組み合わせ技が用意されており、迫力ある演出と共に様々な付与効果を試す楽しさに繋がっています。試行錯誤を繰り返しながら、自分だけの最強の連携を見つける喜びは格別です。

プレイして感じたこと:『アスディバインディオス』の魅力と惜しい点

【良かった点】

  • 個性豊かなヒロインたちとの会話劇: 3人のヒロインによるテンポの良い掛け合いは、物語全体を明るく楽しい雰囲気にしてくれました。
  • 王道かつ感情移入しやすいキャラクター設定: 敵役や勇者の存在が王道的で、それぞれのキャラクターに深く感情移入できました。
  • 豪華声優陣によるキャラクターボイス: 特に緑川光さんのボイスは、往年のアニメファンには嬉しいサプライズでした。
  • メイン以外の精霊たちの魅力: ストーリーに深く関わらない精霊たちにも個性と魅力が溢れており、世界観の奥行きを感じさせました。
  • 圧倒的なやり込み要素: キャラクター育成を筆頭に、収集要素など、とことんやり込める設計になっています。
  • 心に残るBGMの数々: 戦闘BGMを中心に、耳に残る良質な音楽が多く、ゲーム体験を豊かにしてくれます。
  • 愉快なセリフと心の声: 登場人物たちのユーモラスなセリフや心の声は、随所でプレイヤーを笑顔にしてくれます。
  • 親しみやすい「神」の主人公: 神である主人公が完全無欠ではないという描写は、プレイヤーが感情移入しやすく、親近感を抱かせました。
  • 豊富なマルチエンディング: ヒロインたちに焦点を当てたものを含め、複数のエンディングが用意されており、繰り返しプレイするモチベーションになります。

【気になった点】

  • 「ギャルゲー」という誤解を招くパーティー構成: 主人公以外のパーティーメンバーが女子のみという固定メンバーは、タイトル画面と相まって「ギャルゲー」という誤解を受けやすいかもしれません。
  • 「ヌルゲー」化しやすい難易度: 育成が非常に簡単に行えるゲーム設計のため、やり込みすぎるとゲーム全体がヌルゲー化しやすい側面があります。
  • 声優ボイスの限定的な使用: せっかく声優を起用しているのであれば、重要なイベントシーンなどでもっとキャラクターに喋ってほしかったと感じます(現状は戦闘シーンの短いセリフのみ)
  • 防具の強化ができない点: 武器だけでなく、防具にも強化要素があれば、さらに育成の幅が広がったと感じました。

【総評】初心者にもベテランにも推奨したい、心温まる冒険譚

神と人間を中心に描かれる物語は数多く存在しますが、その多くは人間をメインに据える傾向にあります。しかし、本作は「神」を主人公に据えながらも、プレイヤーがその超越した存在に感情移入できるよう、見事に落とし込んだ設定と物語を紡ぎ上げています。この点は、本当に素晴らしいと感じました。

また、ゲーム設計においても、RPGというジャンルに初めて触れる人の目線で作られていると感じる場面が多く、長年RPGをプレイしてきた私にとっても、その細やかな配慮が新鮮に映りました。作り手の「プレイヤーに楽しんでほしい」という心遣いに感銘を受けた次第です。

そのため、決して高難易度なゲームではありませんが、自分のペースでじっくりと物語と育成を楽しむことができます。最近、大作ばかりプレイしていて、もっと気軽に楽しめるゲームを探している方には、ぜひ一度プレイしてもらいたい一本です。

『アスディバインディオス』は、ギャルゲーという先入観を捨ててプレイすれば、きっとあなたの心に温かい光を灯してくれるでしょう。この神々しい物語の結末を、ぜひご自身の目で確かめてみませんか?

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