溢れる闇…
異形化する人々…
混沌の先で、闇を斬り裂く!!伝説の四英雄と紡ぐ、重厚な物語
◆『冒険』がそこにある
広大なフィールドを歩き回り、まだ見ぬ地を訪れよう。
深い森を抜け、雪山を越え、そして天上の世界へ!一つの世界がここにはあります。
◆手に汗握る白熱の『戦闘』
ターン制のコマンドバトルとなり、1回の選択が重要な意味を持ちます。
通常攻撃や防御も必要となる一味違った奥深さのバトルが楽しめます。待ち受ける「ボス」は強大ですが、一筋縄ではいかないハラハラの先にある「勝利」を掴み取りましょう。
勧善懲悪に収まらない、“闇”をテーマにしたドラマチックRPG
ケムコが送り出す2Dドット絵RPG『フォーレジェリア』は、同社の手がける他の作品と同様に、手頃な価格とノスタルジックなビジュアルを持ちつつ、心に響く重厚なストーリーで際立った存在感を放つ一本です。
特筆すべきは、その物語構成。単なる勧善懲悪ではなく、“心の闇”という普遍的なテーマに焦点を当てたことで、登場人物たちの内面に深く踏み込んだドラマを描いています。
闇に囚われる者、抗う者――レンの旅が示す葛藤と成長
物語の主人公レンは、情熱的でまっすぐな性格の少年。しかし、物語冒頭から彼の大切な存在が失われ、そこから始まる復讐の旅路が本作の核となっています。
この旅の中でレンは、幼いころから共に育ったヒロインとの再会や、天上界からやってきた神のような存在との邂逅、仲間たちとの交流を通じて、自らの中に芽生えた「闇」と向き合っていきます。そのプロセスは重苦しくもありながら、希望に満ちたもので、プレイヤー自身の感情にも深く訴えかけてくるでしょう。
群像劇としての完成度――仲間たちにも宿る“闇”と“背景”
『フォーレジェリア』の魅力は、主人公だけにとどまりません。彼の仲間となるキャラクターたちも、単なる「世界を救うための戦力」として登場するのではなく、それぞれに葛藤や過去、想いを抱えています。
プレイ中、「え、この人が仲間になるの!?」と驚くような展開も盛り込まれており、ストーリーの深みと意外性を生んでいます。例えば、孤高の剣士や、世間知らずなお姫様、侠客のような振る舞いを見せる侍など、多彩な人物が一堂に会する様子は、群像劇としての厚みを際立たせています。
戦略性に富んだバトルシステム――SP運用がカギを握る
戦闘はフロントビューによるターン制コマンドバトルで進行。キャラクターたちのドットアニメは滑らかに動き、バトル演出としての魅力も十分。
戦闘の核となるのは“SP”と呼ばれるリソースで、これはMPのように消費しながらスキルを使うものですが、ターン経過やパッシブスキルにより自然回復していくため、毎ターンの使い方を慎重に考える必要があります。
そのため、大技を連発して押し切るようなプレイは難しく、敵との相性やパーティー構成に応じて戦略を組み立てる楽しさが味わえます。戦闘のテンポは良好ながら、歯応えもきちんとあるバランス感覚が光ります。
各キャラクターのスキルも個性豊かで、単なる性能差ではなく戦術の違いとして作用するのも魅力。スキル同士のシナジーを見つける楽しみがあり、自然と「このキャラとこのキャラを組ませてみよう」という思考に繋がっていきます。
旅を彩る仲間たちの会話とBGMの力
物語の重さに反して、道中の会話はコミカルなやり取りも多く、深刻になりすぎないような絶妙なバランスが取られています。ツンデレなお姫様や軽妙な侍など、仲間たちとのテンポの良いやり取りは、まさに物語における“清涼剤”。
また、BGMも本作の強力な武器。シーンに合わせて変化する楽曲群はどれも秀逸で、特にボス戦における複数のテーマ曲は臨場感を大いに高めてくれます。
良かった点
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闇と復讐を軸にしつつ、希望を描く深みのあるストーリー
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魅力的な仲間キャラクターと群像劇としての展開
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テンポの良い戦闘と、戦略性を求められるバトル設計
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個性的なスキルによる多彩なパーティー構成が可能
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約20時間を超えるプレイボリューム
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BGMが場面ごとに緻密に作られており、臨場感に貢献
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課金によるブースト要素もあり、ライトユーザーでも快適に進行可能
気になった点
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エンカウント率がやや高く、探索のテンポを削ぎやすい
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オート戦闘の挙動が最適とは言い難い
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基本的に一本道な進行で、分岐や探索の自由度は低め
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一部強敵戦での“無効シールド”により戦闘が冗長になることも
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エンディングはややあっさりしており、余韻に欠ける部分も
総評――“闇”を描きながらも光を見せる、ケムコならではの良作RPG
『フォーレジェリア』は、心の闇というシリアスなテーマを扱いながらも、それをただ重苦しいだけで終わらせず、キャラクターたちの絆や希望を描くことで、温かみすら感じさせる作品です。
戦略的なバトルシステムと、プレイヤーの思考を促すスキル運用、そして一人ひとりのキャラクターが織りなす群像劇としての完成度――これらがうまく融合し、ただの低価格RPGに収まらない“遊び応え”を提供してくれます。
とりわけ、スーパーファミコン時代のRPGに親しんだ方や、昔ながらの2Dドット絵RPGが好きな方には、自信を持っておすすめできる一本です。