ポストアポカリプス×ファークライ=唯一無二の世界観!
『ファークライ ニュードーン』は、ナンバリング最新作『ファークライ5』のエンディング直後を描いたスピンオフ的な続編作品。核戦争後の荒廃した世界を舞台に、人々が再び生活を再建しようと奮闘する中、新たな脅威「ハイウェイマン」との激しい戦いが繰り広げられます。
ポストアポカリプスと聞くと、暗く絶望的な雰囲気を思い浮かべがちですが、本作はまさに「終末後の生命力」に満ちた鮮やかな世界。廃墟と自然が融合したロケーションの美しさ、どこか原始的で野性味ある暮らしの描写が、ファークライという土台の上にうまくマッチしています。
プレイヤーは、この新たな秩序に抗いながら、自由と希望を取り戻すための戦いに身を投じていきます。その構図は単純でありながら、プレイヤーの感情を揺さぶる熱量に満ちています。
『ファークライ5』未プレイでも楽しめる?→YES!だけど……
「ニュードーンはスピンオフ作品だから5を知らなくてもOK?」とよく聞かれます。結論から言えば、前作未プレイでも問題なく楽しめます。
もちろん、『5』を遊んでいると、ニヤリとできる演出やキャラの再登場が随所にあり、物語の背景により深く感情移入できます。とくに、あの結末を知っていると、今作で明かされる“あの人の消息”に胸が熱くなること間違いなし。
ただし、本作単体でも物語はしっかり完結しており、「荒廃した世界で新たな支配者に抗う」というストーリーだけでも十分に楽しめます。あくまで『5』の知識は“プラスαのスパイス”であり、予習は不要です。
それでも個人的には『5』を先にプレイしておくことで、今作の魅力が2倍にも3倍にも膨らむので、可能なら前作から遊ぶことをおすすめします。
RPG要素がシリーズを一新!成長とカスタマイズの快感
本作では、シリーズ初となるRPG的な要素が導入されています。敵や武器に“レベル”の概念があり、こちらの装備やスキル次第で戦略や難易度が大きく変わってきます。
この変更により、アクションシューティング一本槍だったこれまでのファークライに、キャラビルドや収集、育成といった中毒性の高い要素が加わりました。
特に以下のポイントがプレイヤーに好評です:
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スキルツリーが大幅強化:ステルス強化や格闘の威力アップなど、自分好みにカスタマイズ可能
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無制限にスキル取得が可能:やり込めば、どんなビルドも実現可能に
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超常的な能力の獲得も:スーパーパワーで敵を吹き飛ばす爽快感
レベル差による難易度の上下は多少ありますが、それも含めて“どう攻略するか”を考える楽しさに繋がっており、これまでのシリーズよりも「自由度」がさらに高まった印象です。
探索とクラフトの楽しみが増幅!武器も世界観もユーモア満点
終末後の世界ということで、銃器や装備も既製品ではなく、寄せ集めの素材で作られた“手作り感”満載のデザインに。これが実にユニークで、見た目も機能もクセが強い!
さらに、通貨は廃止され、部品や動物の素材を集めてクラフトする仕組みに変更。探索の目的が明確になったことで、オープンワールドを歩き回る動機付けが自然に生まれるようになっています。
時には突然変異した動物に襲われてパニックに陥ることも。荒廃した世界なのに、なぜか笑えてしまうユーモアがあるのも本作の魅力です。
仲間(お供)システムも健在!ただし同行は一人だけに……
前作『5』でも好評だった“お供システム”は今作にも継承。ただし、同行できる仲間は最大1人となり、これは物足りないと感じる人もいるかもしれません。
とはいえ、仲間のキャラはどれも個性的で、戦闘中の掛け合いやサポートも健在。中には前作との繋がりを持つキャラもいて、「あの世界を生き延びたんだ……」という感慨に浸れる瞬間も。
1人同行制に関しては、プレイヤー自身に成長要素が加わったためのバランス調整とも言えます。つまり、仲間と力を合わせて戦うだけでなく、自分自身が強くなって戦況を切り開いていく感覚が味わえるのです。
少しだけ気になった点|狂気と不自由さ、それも“ファークライらしさ”か
どんなに完成度の高いゲームでも、気になる点がゼロというわけではありません。ここでは、『ファークライ ニュードーン』をプレイしていて感じた、いくつかの“引っかかり”を正直に記しておきます。
狂気と残虐描写が前提にある物語世界
まず、これは『ファークライ』シリーズ全体に共通して言えることですが、本作の世界観は常に**“狂気が玉座に座っている”**ような構造になっています。支配者たちは常軌を逸しており、その狂気は演出やシナリオを通じて容赦なくプレイヤーを飲み込んできます。
とくに今作では、冒頭から強烈な暴力と支配によるショックシーンが畳みかけてきます。刺激的である反面、残酷な描写や救いのない展開が苦手な人にとっては、精神的にきついスタートとなるかもしれません。
この点は、「明るく希望に満ちた終末後の再生物語」を期待している人にはギャップがある部分と言えるでしょう。
プレイヤーの自由が縛られる“儀式的イベント”
本作でも、シリーズ恒例となっている**“宗教儀式”のようなシーン**がいくつか登場します。これらは基本的に、プレイヤーの自由を奪う演出の一環で、強制的な移動や一時的な装備制限などを伴うのが特徴です。
なかでも印象に残ったのは、ある儀式的戦闘シーン。ここでは、普段愛用している高性能な武器が取り上げられ、原始的な装備だけで戦う羽目になる場面がありました。
せっかく育てたキャラの能力や装備が制限されることに対して、「やり込み要素を削がれた」と感じる人もいるでしょう。プレイヤーにとっての“強さ”や“準備の成果”を活かせない場面は、やや没入感を損ねる部分かもしれません。
ただ、前作『ファークライ5』に比べれば、そうした強制イベントやプレイヤー誘拐の頻度は格段に減少しており、ゲーム全体のテンポや快適性は大幅に向上しています。遊びやすさという点では、本作は過去作の中でも群を抜いている印象です。
結末を迎えて感じたこと|虚無の先に見えた“希望”
『ファークライ』シリーズにおいて、エンディングが「爽快感のあるハッピーエンド」になることは稀です。むしろ、多くの作品がプレイヤーに虚しさや不条理さを残す結末を用意しています。
前作『5』に関しても、その結末は物議を醸し、「あれはバッドエンドだ」と感じた人も少なくありませんでした。
それゆえ、『ニュードーン』をプレイするにあたっては、ある種の覚悟を持って臨んでいました。しかし、実際にエンディングを迎えてみると、これまでのシリーズで最も“光の見える”終わり方が用意されていたのです。
前作で残った虚無感が、今作でようやく昇華されたような感覚。それは決して大団円ではないかもしれませんが、終末を乗り越えた人々の“希望”が見える、心温まる余韻がありました。
このエンディングがあったことで、『ファークライ5』と『ニュードーン』は、まさに地続きの連作として補完し合う関係にあったと再確認できました。
ボリュームについて|“短めの本編”と“無限のやり込み”
プレイ時間についても触れておきましょう。まず、本編のシナリオボリュームに関して言えば、確かに『ファークライ5』ほどの長さはありません。物語自体はコンパクトにまとまっており、数日でクリアすることも可能です。
しかしそれはあくまで“ストーリーだけ”を追った場合の話であり、実際には以下のようなやり込み要素がプレイ時間を大きく伸ばしてくれます。
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武器クラフトの素材集め
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スキル獲得によるビルド構築
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突然変異動物やエリート敵とのバトル
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拠点の強化と探索ミッション
特に育成要素が強化されたことで、「もっと強くなりたい」「あの武器を作ってみたい」といったモチベーションが尽きない設計となっています。人によっては、ストーリーそっちのけで延々と素材集めに没頭してしまうかもしれません。
したがって、「ボリュームが少ない」と感じるかどうかは、“何を目的にプレイするか”次第です。成長要素や探索が好きな人であれば、十分すぎるほど楽しめる作品です。
実際にプレイしてみての評価|こんな人におすすめ!
筆者としては、シリーズの変革期とも言えるこの『ファークライ ニュードーン』に、とても好感を持ちました。従来の“自由度の高いオープンワールドFPS”という良さはそのままに、RPG的な育成と探索の楽しさを大幅に加えたことで、遊びの幅がぐんと広がっています。
ただし、以下のような要素に抵抗がある人には、注意が必要です:
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残虐描写や狂気的なキャラクター
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プレイヤーの自由を奪う演出
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暗めで終末的な雰囲気の世界観
逆に、以下のようなプレイヤーにはピッタリな一本です:
✅ 育成やクラフトが好きな人
✅ シリーズファンで『5』の続きが気になる人
✅ アクションRPGのような成長型FPSを求めていた人
✅ 荒廃した世界でもユーモアを感じたい人
総括:『ファークライ ニュードーン』はシリーズを一歩進化させた“再生の物語”
『ファークライ ニュードーン』は、終末を迎えた世界の中で、それでも人々が前を向いて生きていく姿を描いた、“再生”の物語です。
スピンオフという枠に収まらず、育成、探索、戦略と、あらゆる角度から“遊び尽くせる”内容に仕上がっており、『5』で感じた閉塞感を見事に打ち破る快作でした。
シリーズファンも、今作が初めてという人も、それぞれに楽しめる要素が満載です。ぜひ一度、この狂気と希望が混在する美しき終末世界を、あなたの手で旅してみてください。