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【クリア後レビュー】『Styx: Shard of Darkness』非力なゴブリンが輝く、奥深きステルスの世界

投稿日:2020年5月16日 更新日:

異色の主人公が輝く!常識を打ち破る海外ゲームの底力

日本のゲーム業界ではまず企画が通らないだろう、そんな衝撃的なコンセプトを本作は見事に実現しています。なんと、主役はあの「ゴブリン」!これまで脇役のモンスターという印象が強かった彼らが、主人公として堂々と活躍する姿には、海外ゲームの懐の深さと計り知れない可能性を感じずにはいられませんでした。

主人公のスティクスは、盗賊を生業とするゴブリン。その身軽さと狡猾さで名を馳せていますが、その名声が時には思わぬ事態を招き寄せます。物語は彼がとある事件に巻き込まれるところから始まり、やがて世界を揺るがす壮大な出来事の中心へと迫っていく展開に引き込まれます。

しかし、スティクスの根幹にあるのはあくまで「盗賊」としての矜持。どんな状況に置かれてもそのスタンスは揺るがず、一貫した生き様には種族を超えて自然と好感が持てました。ゴブリンが主役だからといって、登場人物がゴブリンばかりというわけではありません。人間はもちろん、エルフやトロールといった様々な異種族も登場し、彼らが共存する世界でゴブリンがいかに卑下された存在であるかが描かれています。そんな中で、己の才覚と機転で生き抜くスティクスの姿は、プレイを進めるほどに「男前」に見えてくるから不思議です。これこそが、このゴブリンゲームの真骨頂と言えるでしょう。ダークファンタジーの雰囲気が全体に漂いつつも、時には息をのむような美しい景色がプレイヤーを魅了します。

練り込まれたステージクリア型!箱庭探索の奥深さ

本作のユニークな点は、広大なオープンワールドを思わせる作りでありながら、エピソードごとにしっかりと区切られたステージクリア型の設計になっていることです。一つ一つのステージがまるで大きな箱庭のように緻密に作り込まれており、エピソードを進めるごとに新たなステージが解放されていきます。

各ステージは独立しており、一つクリアするごとにアジトに戻り、そこから次のミッションを受注して新たなステージへと進むという流れは、ファミコン世代にはどこか懐かしさを覚える仕様です。広大なオープンワールドを自由に探索したいというプレイヤーには少し物足りなく感じるかもしれませんが、限られた空間の中での密度と戦略性は、この形式だからこそ味わえる醍醐味と言えるでしょう。

ミッション(エピローグ)には、クリア条件以外にも様々な達成条件が課せられており、これをクリアすることでスキルポイントを獲得できます。筆者はアクションゲームが得意ではないため、タイムアタックやサブミッションまでこなす余裕はありませんでしたが、これらのやり込み要素はプレイヤーの腕を試す絶好の機会となるはずです。

「死にながら覚える」ステルスの極致!非力なゴブリンだからこその緊張感

これまでのステルスゲームと言えば、『メタルギア』シリーズや『アサシンクリード』シリーズを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、『スティクス』はこれらの作品とは全く異なる、純粋なステルス特化型ゲームです。

ゴブリンであるスティクスは、決して戦闘向きな種族ではありません。この基本設計がゲーム全体に貫かれており、いざという時の「力技」が通用しないのが本作の大きな特徴です。もちろん、敵をキルすることは可能ですが、ミッションの条件では極力それを避けるよう設定されています。さらに、ステージを進むとこちらの攻撃が全く通用しない敵も多数登場するため、「敵を倒して進む」というアクション要素は意図的に排除されています。

そのため、筆者のような浅いステルスゲーム経験値はほとんど通用せず、まさにゼロからステルスの本質を学び直す必要がありました。本作は、初見からスマートにクリアできるような作りにはなっていません。むしろ、**「死にながら覚えていく」**ことを強く求められます。用意されているステージ数はそれほど多くありませんが、歯ごたえのある難易度と試行錯誤に費やす時間は、十分な遊びごたえを提供してくれます。

とにかくトライアンドエラーを繰り返す中で、スティクスが盗賊であること、そして隠密行動こそがクリアへの唯一の道であることを自分に言い聞かせる忍耐力が必須でした。ミニマップのようなものも用意されていないため、自分の足と目を頼りにステージを把握し、攻略ルートを見つけ出す必要があります。

攻略中には、最大限の警戒心を持って敵の気配を察知し、隠密行動をとることが最優先されます。時には物陰に隠れて敵の行動パターンを観察したり、ステージごとに用意されたギミックを最大限に活用したり、マップの隅々まで踏破して抜け道を探したりと、これまでにない奥深いステルスゲームを満喫できます。どのステージもダークファンタジーの世界観が見事に表現されており、非力なゴブリンを操作することで、より一層の緊張感が演出されています。

スキルラインで広がる戦略性!ゴブリンへの愛情を感じるストイックな設計

スティクスでは、ミッションをこなすことでスキルポイントを獲得できます。用意されている5つのスキルラインは、ゲームを有利に進める上で欠かせないものから、プレイヤーの遊びの幅を拡張するもの、そして中には驚くような斬新なスキルまで様々です。これらのスキルを駆使してステージを攻略していくのは、本作の大きな楽しみの一つと言えるでしょう。

しかし、どんなにスキルを習得しても、スティクスが非力であるという根本は変わりません。軽業師のような身のこなしと慎重な行動に重きを置くプレイスタイルが徹底されており、そのストイックなゲームデザインからは、開発者の確かな実力と、ゴブリンという種族への惜しみない愛が感じられました。

『スティクス・シャーズ・オブ・ダークネス』は、単なるステルスゲームとしてだけでなく、異色の主人公と練り込まれたゲームシステム、そして作り手の情熱が融合した、非常に思い出深い作品となりました。ぜひ、あなたもこのゴブリンの魅力に触れてみてはいかがでしょうか?

まとめ

『スティクス・シャーズ・オブ・ダークネス』は、ゴブリンを主人公に据えるという斬新な切り口で、従来のゲームの常識を打ち破った意欲作です。主人公スティクスの盗賊としての矜持や、卑下されるゴブリンとしての逆境を才能で乗り越える姿は、プレイヤーに深い共感を呼び起こします。

ゲームプレイは、箱庭のようなステージを探索するステージクリア型で、広大なオープンワールドとは異なる濃密な体験ができます。しかし、本作の最大の特徴は、徹底したステルス特化型である点です。ゴブリンであるスティクスの非力さを逆手に取り、「死にながら覚えていく」トライアンドエラーを通じて、純粋な隠密行動の奥深さを味わうことになります。ミニマップなし、力押しが通用しない環境で、敵の行動パターンを観察し、ギミックを駆使してルートを開拓する過程は、これまでにない緊張感と達成感をもたらします。

スキルラインによる戦略性の広がりも魅力で、非力なゴブリンとしてのプレイスタイルを追求するストイックな設計からは、開発者の確かな実力とゴブリンへの愛情が強く感じられる、記憶に残る一作です。

-PS4, 趣味

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