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その魔物、育てるだけじゃない!戦う仲間『魔想のウィアートル』体験記

投稿日:2020年9月10日 更新日:

★STORY★
記憶を失っており、魔物と心を通じ合わせることができる主人公「クルタ」
ハープで魔物を手懐ける、羊飼いの少女『アイラ』

微かに残る「兄の記憶」を頼りに、記憶探しの旅に出ます。

旅の途中でテゼール帝国第三王子の「ビスキュート」と出会いますが
意地悪な王子はクルタの邪魔をするため、てんやわんやの大騒ぎ!

クルタの記憶、千の獣を従えし偉大な英雄、真実を映す泉と心眼の魔女。

おとぎ話のようなワクワクの詰まった物語が幕を開けます。

© 2019-2020 KEMCO/Hit-Point

人と魔物が織りなす、哀しくも温かいファンタジー

ファンタジーRPG『魔想のウィアートル』をプレイし終えて、胸に残ったのは「優しさ」と「切なさ」、そして「希望」だった。

本作は、人と魔物という本来交わることのない存在たちの間に立ち、橋渡しをするような物語を丁寧に描いた作品。特に、主人公クルタ(名前変更可能)とヒロインのアイラという、共に特別な力を持つ2人の存在を軸に、感情豊かで抒情的なストーリーが展開される。

クルタは、世界で唯一「魔物の言葉を理解できる少年」。そしてアイラは、音楽という形で魔物と心を通わせる力を持ち、ハープの旋律で彼らを癒やし、時に導いていく。その関係性は、ただのバディものでは終わらず、プレイヤーの心をじんわりと温めてくれるような穏やかな絆で結ばれている。

記憶をなくした少年の“追憶の旅”

物語は、過去の一切の記憶を失ったクルタが、世界の片隅で目を覚ますシーンから始まる。自身の存在の意味も分からぬまま、彼は旅に出る。冒険を進める中で、断片的に蘇る過去の記憶。それらはどれも淡く、どこか物悲しく、プレイヤーの心に静かに沁み込んでくる。

だが、その追憶の旅は決して“悲しみ”一色ではない。クルタの生来の明るさと、アイラの包み込むような優しさによって、常にどこかに“光”が差している。ふたりのやり取りからは、互いに支え合うことの大切さや、人とのつながりの温もりが自然と伝わってくるのだ。

加えて、物語の随所で流れるBGMの美しさも特筆すべき点。特に、哀愁を帯びた旋律が流れるシーンでは、ゲームであることを忘れてしまいそうになるほど、情緒に引き込まれる瞬間が何度もあった。

ライバル・ビスキュート王子の存在感

忘れてはならないのが、クルタの前に立ちはだかるライバル的存在、ビスキュート王子だ。

彼は典型的な敵役かと思いきや、その実、とても人間味にあふれており、憎めない魅力に満ちたキャラクター。高慢さや勝気な性格はあるものの、根底には真っ直ぐな信念があり、物語が進むにつれてその葛藤や想いに共感を覚えるプレイヤーも少なくないはず。

敵役でありながら、物語を彩る重要なピースである彼には、個人的に“最優秀助演男優賞”を贈りたい。最終盤で彼が見せる“あの行動”は、思わず胸が熱くなった。

魔物は「仲間」であり「友」

魔物との関係性に宿る“リアルさ”

ただし、魔物との出会いがすべて美しいものであるわけではない。本作の大きな魅力のひとつは、「魔物と人間は本来相容れない存在である」という前提を、きちんと物語の根底に据えていることだ。

人に裏切られ、迫害され、傷ついた魔物たち。逆に、人間をだまし、襲い、食らう凶暴な魔物たち。そうした“闇”の側面にも真正面から向き合っているからこそ、ただの勧善懲悪に収まらず、より深い物語体験となっている。

さらに、魔物同士の間にも友情や種族の壁による悲劇があり、そのひとつひとつがしっかりと描かれている点にも感心した。ここまで魔物の内面にスポットを当てたRPGは、近年では本当に貴重だと感じる。

スキルラインを活かしたキャラクタービルドが楽しい!

『魔想のウィアートル』は、ただ物語の奥行きがあるだけでなく、戦闘においても一筋縄ではいかない“骨太”な魅力が詰まった作品です。

プレイヤー視点で進行するフロントビュー方式のバトルは、一見すると古き良きJRPGのような懐かしさを感じさせますが、実際に触れてみると、そこには想像以上に練られた戦術性とビルドの自由度が広がっています。

グラフィックこそ柔らかな雰囲気をまとい、仲間となる魔物たちも可愛らしい姿が多く見られるのですが、そのビジュアルに反して、戦闘システムは容赦のない緊張感とやり応えを提供してくれます。

戦闘システムは「溜めて撃つ」タイプの戦略型

本作において、戦闘での肝となるのは「SP(スピリットポイント)」という独自のリソース管理。一般的なRPGのようなMP(マジックポイント)ではなく、SPは各ターンごと、あるいは特定の行動を取ることで蓄積されていきます。

強力なスキルほどSPの消費量が大きいため、闇雲に連発はできません。「いま貯めるか、それともここで使うか」といったリソースマネジメントが常に頭をよぎり、どのタイミングで技を放つかの判断が戦況を大きく左右します。

この“溜めて、決める”感覚がとにかく心地良く、特にボス戦では戦術がハマったときの達成感がたまりません。

スキルラインで差が出る、育成とビルドの楽しさ

登場キャラクターたちには、それぞれユニークなアクティブスキルやパッシブスキルが設定されており、一部のスキルは自由に付け替えることも可能。属性相性やスキルの組み合わせによって、戦術の幅が大きく広がります。

ただ強いスキルを詰め込めばいいというわけではなく、SPの消費バランスや敵の行動パターン、味方との連携なども加味しなければなりません。まさにプレイヤーの構築力やセンスが試されるビルド要素であり、RPGファンにはたまらないポイントとなっています。

また、レベリングに頼りすぎると痛い目を見る絶妙な難易度設定も秀逸。単なる数値のゴリ押しではどうにもならない場面が多く、「考えて戦う楽しさ」がしっかり味わえる作りになっています。

魔物たちのアクションが戦闘に彩りを添える

フロントビューならではの魅力として、敵キャラクターのアニメーションがとても滑らかで見応えがあります。特に魔物たちの動きには細かな演出が多く、単なる戦闘の繰り返しに飽きが来にくいのも大きな強み。

中でも印象深かったのが、序盤で出会う特殊魔物【ゴールドパン】。この魔物は一定ターンで逃げてしまうのですが、逃げるまでの間に与えたダメージに応じて大量のお金を落としてくれる、非常にありがたい存在です。

一方で、似たような“出現率の低い強敵”である【ハイペリオン】というドラゴンは、見た目も中身もまさに脅威。全く油断ならない相手として、最後までプレイヤーを苦しめてくれました。

実際にプレイして感じた“良かった点”

  • クリアまでに20時間以上(やり込み含めると30時間超)という満足感あるボリューム

  • スーパーファミコン時代を彷彿とさせるドット絵と世界観

  • 戦闘後はHPが全回復する仕様(ただし回復アイテムは存在しない)

  • 戦闘ごとのオートセーブ+全滅時も直前からやり直せる親切設計

  • 魅力的な魔物を多数仲間にできる(それぞれにしっかりエピソードあり)

  • ロック調など印象に残るBGMが多く、戦闘のテンションを引き上げる

  • ライバルや敵役も魅力的で、ストーリーに厚みを持たせている

  • 別モードでローグライク風の遊びも可能(本編とは異なるプレイ感)

  • スキルと属性を組み合わせたパーティー構築が戦術的で楽しい


気になった点・惜しかったところ

  • 主人公とヒロインが固定のため、魔物は2枠しか入れられず自由度がやや低い

  • エンカウント率が高めで、テンポを損ねる場面も

  • 戦闘オート機能の挙動がやや荒削りで、調整の余地あり

  • ゲームバランスに関わる便利要素が一部課金ブースト依存

  • 終盤に仲間になる魔物は育成機会が少なく、戦力として活かしづらい

  • ストーリー後半がやや駆け足気味に感じられた


総評:懐かしさと挑戦が同居する良作RPG

『魔想のウィアートル』は、懐かしさを感じさせるグラフィックと、物語性に重きを置いた丁寧な演出が魅力の作品であると同時に、戦術的な戦闘と自由度の高いビルド要素によって、現代RPGファンのニーズにも応えてくれる良作です。

特に、ただの善悪にとどまらない“人と魔物”の関係性を描いたストーリーは、心に残る印象的なエピソードが多く、ゲームで物語を楽しみたい人には間違いなくおすすめできる一作。

サクサクとテンポ良く遊べる一方で、しっかり考えて攻略したいプレイヤーにも手応えのある戦闘設計。難しすぎず、しかし易しすぎない、“ちょうどいい挑戦”が味わえる絶妙なバランス感覚に感心させられました。

RPG初心者からベテランまで、幅広く楽しめる懐の深さを持った作品です。

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