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ロロナの系譜を引き継ぐ意慾作
トトリは、以前にプレイした新ロロナのアトリエの続編にあたる訳だが、新ロロナは旧作品をリニューアルしたもので、発売時期などもトトリよりも後になる。その為、一部のシステムやグラフィックなどにおいてはロロナの方が洗練されている。
ただ、だからと言って新ロロナに劣るというわけではない。本作には新ロロナとはまた違ったシステムや独特の世界観があって、それにより、新たなプレイスタイルが求められる。そのおかげで新たな気持ちで遊ぶことが出来た。
また、トトリは前作の主人公であるロロナとはとても深い縁をもっており、トトリを通じてロロナの成長した姿や物語を知ることが出来る。それもロロナから続くアーランドシリーズだからこそできる描き方で、トトリをプレイする上での楽しみの一つと言えるだろう。
トトリ独自の冒険者システム
今作では、錬金術師という以外に冒険者という点にスポットを当てらており、トトリ自身も錬金術師としての日々を送ると同時に冒険者を目指していく。
そのため、前作よりもワールドマップが広大となり、物語後半においては、トトリの家族に関わる話から船を造り航海の旅に出ることにもなり、活躍の場という意味ではスケールアップを感じた。
その一方、新たに追加された冒険者という要素への理解と、それに伴い錬金術師としての役割を考え改める必要を感じた。また、ゲームを進めるうえで二つの役割を理解しながら、バランスよくこなしていくことが攻略のカギにもなっている。
文字で伝えると、いかにも面倒くさそうな印象を与えてしまうが、その部分が本作の妙であり、アトリエシリーズの魅力であると思わせてくれるだけの面白さがあった。
良かった点と気になった点
・前作同様に岸田メル先生によるキャラクターデザインが素晴らしい
・前作の舞台を新たな形で楽しめ、登場人物のその後も知ることが出来る
・心に残る主題歌、BGMとフルボイスによる会話劇が楽しめる
・採取、戦闘などでも時間経過がカウントされ、慣れるまでシビアな印象
・トゥルーエンドの条件が超シビアで攻略本(サイト)必須レベル
・検索ソートや調合の成功率について少し不親切
錬金術師と冒険者による組み合わせが織りなす物語
本作は、ロロナから流れを汲むだけあり、前作に登場した人物たちが多く登場し作品に華を添えてくれる格好となっている。さらに、新たに登場する人物たちとも積極的に関係を築く話が描かれている。そうした自然発生的な形でシリーズに広がりを見せていく構成は続けて遊ぶものとしては感慨深いものもある(前作の登場人物たちの年齢なども含めて)
また、前述でも触れたように、今作では錬金術師というポジションからだけではなく、新たに追加された冒険者としての新たな切り口も楽しめるようになっている。そこには、トトリの物語の核となる部分も関わってきて、それがクライマックスに向けて大きな盛り上がりを作り出すなど、新たな試みながらしっかりと成功へと結実させている点も高く評価できる。
前作のロロナに比べて、プレイヤーに選択と遊びの幅を与える仕様はワクワクとドキドキが付き物である冒険者らしく、好意的に受け入れることが出来た。もちろん、それも根幹にある錬金術システムと世界観がしっかりと地に足がついていたことは言うまでもない。
間違いなく、良作であり高い完成度を誇っていることは間違いない本作。唯一、エンディングの仕様だけは、もう少し条件を易しくしてもよかったのではと思う。特にすべてのエンディング条件を満たす必要があるトゥルーエンドは攻略本(サイト)の助けがなければ、私には無理だった。
ただ、このシリーズは繰り返し遊ぶことが前提となっているので、その中で自分なりの攻略を探っていくという遊びも苦にはなりにくい作りとはなっているので、あくまで個人的な所感であることを留意いただきたい。
ロロナで初めて遊んだアトリエシリーズ。その後継作品であるトトリも最後まで楽しむことが出来た。アーランドシリーズは他にも発売されており、是非とも遊んでみたいと思う。